猫本32:『イヌとネコのパリ散歩』★フィリップ&リオネル・コクラン [猫★主役マンガ]

110925_1316~0002.jpg


『イヌとネコのパリ散歩』★フィリップ&リオネル・コクラン

イラストを担当したリオネルさん(コクラン兄妹の妹)は絵本作家でもあるので、「絵本」に分類しようかと思いましたが。
訳者あとがきに「このマンガシリーズ」と記されていたので、フランスのマンガ、であるらしい。

イヌとネコがパリを散歩しながら、その場所にふさわしいセリフを発する、というスタイル。
セリフを担当したのは兄のフィリップさんで、なかなかシニカルなセリフが、特にネコのセリフに多い気がします。

たとえば。

「宝石店の並ぶヴァンドーム広場」では、2匹が店を覗いていて。
ネコ「石ころばかり・・・」

「エリゼ宮」を眺めながらの会話は。
イヌ「ポンピドゥー、ジスカール・デスタン、ミッテラン、シラク、歴代の大統領はみんな犬を飼っていた」
ネコ「ヤツらはおべっか使いが大好きなのさ」

「ペール・ラシェーズ墓地」にて、「パリ・コミューンにて亡くなりし者たちに」との張り紙を見ながら。
ネコ「時として、いちばんできる連中が排除されるんだ」

いや、全部が全部そういうセリフでもないのだけれど、「きっと作者はネコにそうあって欲しいんだろうな」と、思いました。

所々にフランスの歴史、演劇、映画、著名人、などに関するセリフも出てくるし、パリの名所の多くを網羅しているので、イヌネコに興味がなくても、フランス好き、パリ好きの人なら楽しめそう。

それにしても、このイヌとネコ、「可愛い」というのとはちょっと異なり、昔流行った言葉で表せば「ヘタウマ」みたいな印象なんだけど、線がすごくユニーク。
建物のイラストの線も、細いのに硬質な感じで、実際に描かれた建物がそうなのかはわかりませんが、ヨーロッパに多い「石造りの建物」のイメージです。

リオネルさんが絵を描いた、他の絵本も読んでみたくなりました。
それから、この本の前に『イヌとネコの生活事情』という一冊が出ているようで、それも入手したいなあ。


イヌとネコのパリ散歩



nice!(8)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

猫本31:『ジャクソンねこのほんとうの家』★B・ボール(作)、C・ハリソン(絵) [猫★児童書]

110925_1317~0001.jpg


『ジャクソンねこのほんとうの家』   図書館廃棄本

一番近い区立図書館には、常設のリサイクルコーナーがありまして。
いつもは、ホット●ッパーみたいなフリペとか、なんかの紀要とか、読んでみたいと思えるものはほとんどないのだけど。
ある日、たまたま、「廃棄本」として出されていたこの本を見つけて持ち帰りました。
ボロボロとはいえ、猫の本が置いてあるなんてラッキー[揺れるハート]

話は、冷静で賢く孤独を愛するけれど、面倒見が良い半ノラのねこ、ジャクソンのところへ、1歳になったばかりの「まだ仔猫気分が抜けない」お嬢さんねこマリリンが、「大変なの!」とやってくるところから始まります。

マリリンは「人間の家族が、私を一人残して、大きなバッグを持って全員出かけてしまった」という現実に大慌て。
今までそんなことは一度もなかったし、旅に出たなら、明日のごはん、いえ、今晩のごはんはどうしたらいいの?

ジャクソンは、「やれやれ」と思いながらも、マリリンに「家族、庇護者としての人間がいなくても、半ノラで生きていける方法」をあれこれ伝授します。「もう仔猫じゃないんだから」と諭しながら。

ジャクソンには、「立ち寄って食べ物や飲み物を貰える家」がいくつもあり、それぞれの家で「違う名前」まで持っていたのでした。
郊外の住宅、広いお屋敷、町中の商店、それぞれタイプの違う家で、タイプの違う人間から愛されるジャクソン。

マリリンの「本当の家はどこなの?」という質問に対して、彼は答えます。

「どこもなし」、「ねこというものは、家が何軒あっても、そのどの家のものでもない」

うーん、シビレる。
食べ物を貰ったり、一緒に昼寝をしたりしても、「誰のものでもなく、オレはオレだけのもの」という態度。
これぞ猫! という気がします。

さらに、ジャクソンは森の大きな木の上に「自分だけの小屋」まで持っていて・・・いつでも野生に帰って暮らすこともできる状況にある。それが「一人前の大人の猫」だというわけ。
「いつでも一人で生きていける状態が大人」って考えると、人間としても耳が痛いなあ。

結局、マリリンは「旅ではなく、ピクニックに出かけていただけ」の家族が帰宅し、大喜びで彼らの元に帰っていくのだけど。
万が一、将来、彼女が家族と離れ離れになることがあっても、ジャクソンに教わったことが役立って、生き延びることができるでしょう。

お話は、ちょっと教訓的だけれど、「こうしなさい」という押し付けがましさはなく、「マリリンちゃんの初めてのお外、小さな冒険物語」のようにも読める。
素描画っぽい細やかなタッチの絵も、お話とよくあっているなあと思いました。

ジャクソンねこのほんとうの家 (子どもの文学・青い海シリーズ)

nice!(8)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ブレイクタイム3:猫手拭い

おかげさまで、猫本紹介も、なんとか30冊。
皆様からいただいた「nice!」の数も「100」を越え、大変ありがたく、嬉しく思っています。

なんか、最初は「nice!」って押すのも押されるのも照れくさかったけれど、「半分以上はお返し、お礼だろうな」って思っても、嬉しいものですね~。

コメントいただくのも嬉しいですが、書き込むほどじゃなくても「読んだよ!」とか「いいね!」的に使える機能って便利ですね。

あらためて、読んでくださっている皆様にお礼申し上げます。
「nice! は押せないけど読んでるよっ!」というゲストの皆様も含めてね。

ちょっとここのところ「遅れ気味」ですが、どこかで強引に追いつかせるか、忙しい日にはお休みをいただくか、ブレイクタイム毎に2,3日休むか、これから考えます[猫]

最初の一ヶ月は、「とにかく続けて書こう」と思っていたので、30回を終えて「第一関門突破」な感じです。

さて、3回目のブレイクタイムのテーマは >>> 我が家の猫手拭い

「猫用の手拭い」ではなくて、「猫のイラストが描かれている手拭い」です。

我が家の台所では、濡れた手をふくのに、タオルでなく手拭いを使っています。
洗面所もトイレもタオルなんだけど、台所は一番良く使う、ちょこちょこ使うから、乾きやすい手拭いが便利だなあと思って。
粗品でもらったものも含め、色々なデザイン、メーカーのものを使っていますが、猫手拭い、現在、3種類活躍中。

★1枚目:いろはねこ手拭い

110915_1441~0001.jpg
110915_1440~0001.jpg


「いろはにほへと・・・」を猫で描いたデザイン。
これは、NPO法人自然と動物を考える市民会議のチャリティーグッズとして作られたもの。

会の前代表で、絵本作家の八鍬真佐子さんが、永年かかって考案したものだそう。

全部違う猫、違う形をしているところが凄い。しかもチャリティ目的なので、お店で普通に売られている手拭いよりも「割安」でした。

HPでも買えるようですが、私は高円寺にある猫雑貨&ギャラリー猫の額さんで購入。

割安な上にチャリティにもなるし、猫好きな方への贈り物にも良さそうです。

★2枚目:猫河岸寿司手拭い

110915_1438~0002.jpg
110915_1438~0001.jpg


丸顔の可愛い猫を描くイラストレーター、白浪のりこさんのイラスト手拭い。

友人の元同僚ということで、昨年ギャラリー猫町で開催された個展に遊びに行きまして。

テーマは「日本神話」で、「コノハニャサクヤヒメ」とか、猫の神様たちもとても素敵だったのだけど。
グッズ販売の中にこの手拭いがあって、「え?何?何これ?」と目が釘付けになってしまった。

聞けば「食べ物と猫のコラボレーション作品」は色々手がけているそうで、ネーミングが上手い!
私は「いくにゃ」(いくら)がお気に入りです。

会期中だけの販売だったようで、現在は手に入りませんが、ご本人に確かめたところ「前向きに検討中」とのこと。
こないだまでHPがあったんだけど、今調べたら出てこない・・・工事中、かな?

★3枚目:不明

110915_1439~0001.jpg


仲良くしていただいている古書店主さんから、「店に飾っていたモノで何なんだけど」といただいたもの。
私が猫好きと知っているし、その日、猫関係本を買ったからでしょうけど、とても嬉しかった。

開封済みで、タグなどもついていないため、出所がわかりませんが、格子模様と青の色合いが良いなあ。

とまあ、今のところ「猫手拭い」は3枚ですが、これからも増えていくことでしょう・・・たぶん・・・。
その内、自分で作っちゃうかも知れません。

猫本30:『ずるいねこのおはなし』★ビアトリクス・ポター [猫★主役絵本]

110820_1423~0002.jpg


『ずるいねこのおはなし』★ビアトリクス・ポター

ポターといえば、『ピーターラビット』シリーズの著者として有名ですね。
数年前に、彼女の生涯を描いた映画「ミス・ポター」を見ましたが、作家として認められるまでは、なかなか大変な道のりがあったようです。

この本も「ピーターラビット」シリーズの一冊に納められています。(No.20)
「ねこ」がタイトルについているのは、もう一冊『こねこのトムのおはなし』(No.4)があり、そちらの方が有名かも知れません。

トムには可愛げがあったけど、この「ずるいねこ」は、「年寄りのずるいねこ」とだけ書かれており、名前がありません。
短くて単純なお話の中で、「ずるい」というか「ちょいと卑怯」で「意地汚く」描かれていて。
ねこのお茶会に呼ばれたねずみは、「律儀で賢く」描かれている。

アニメの「トムとジェリー」に似ているかも・・・って、こちらの方がずっと早く世に出たわけですが、「お間抜けな猫」と「賢いねずみ」という対比は同じ。

猫好きとしては、「ねずみごときに!」とちょっと悔しく、「ふん。猫嫌いが作ったんでしょ」とも思うけれど、ポターの描き方は、猫を貶めてはいない。
このねこは最終的に「お間抜けなこと」になってしまうんだど、それを微笑ましく眺めているような感じ。

猫がねずみを捕るのは、当たり前のことだった時代だし、「ずるい」といっても、そんなに「悪いこと」として描かれてもいない印象。
ただの「ねこ」じゃなくて「年寄りのねこ」なのも、「年をとって、動きが鈍くなったから仕方なく策略を用いて」という風にも解釈できるし。

だから、「ふん!」と思いつつも「猫だって、失敗することはあるのさ!」と、余裕をもって眺めることができるのでした。

ずるいねこのおはなし (ピーターラビットの絵本)

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

猫本29:『STORY ABOUT CATS―猫だけが知っている』★俣野温子 [猫イラストエッセイ]

猫だけが知っている.jpg


『STORY ABOUT CATS―猫だけが知っている』★俣野温子

著者の俣野さんを最初に知ったのは、彼女のイラストによる猫やうさぎをあしらった雑貨で、でした。

「いじわるうさぎ」と「しゃまねこ」というネーミングの通り、可愛いだけじゃない、どこか冷めた視線を持っている動物イラストが新鮮だった。

その頃買った雑貨は、使い倒したか、人にあげたかで、まったく残っていないのだけれど。
この本は、何度かの引越しを経て、今も手元にあります。

内容は、猫本9で紹介した、『大事なことはみーんな猫に教わった』に近い感じで、ちょっとドキッとするような一言や、「そうだよねえ」と頷いてしまうような一文をイラストともに紹介していく形式。

たとえば。

「いい子だからって愛されるわけじゃないね。」

イラストは、大きさも服装(服を着ています)も表情も違う10匹の猫と、ヒト(?)

「猫のように見える人と、人のように見える猫」

イラストは、青年男女のカップル(でも、2人とも黒い影が猫形)と、女に抱かれている猫と、男のポケットから顔を出している猫

たぶん、俣野さん(猫を愛し、猫になりたいとよく思っているらしいヒト)が、猫から受け取ったメッセージをヒト語にしたり、猫やヒトを観察していて思った内容なんだろうな。

ご本人は、エピローグに(カバー折り返しに書かれている)「もっと自由に生きたいとか、しなやかな猫の姿に憧れてないものねだりをするときは、何故か私は、知らず知らずに猫を描いているのです」と、記しています。

イラストと言葉のどちらを先に書いたのか、気になるところ。

「しゃまねこ」に似た、クールな目をした猫もいれば、表紙のように「笑顔」の猫もおり、俣野さんが描く「猫の世界」も堪能できるところも嬉しい。

私のお気に入りは、お洒落な格好をした猫。
なんだか、昔の女優さんのような気品があって、素敵なのです。
もっとも、そのページの一言は「1時間も待っているのに」で、私としては「あまり似合わないなあ」と思うのだけど。

STORY ABOUT CATS―猫だけが知っている (ら・むりーずぶっくす)


nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。