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猫本40:『性悪猫』★やまだ紫 [猫★主役マンガ]

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『性悪猫』★やまだ紫

やまださんの作品に出てくる猫は、シニカルな視点を持っている。
「可愛い」というより、「ひねくれた」感じの猫が多い。
性格が悪いということではなく、世の中の理不尽さや、「当然」とされているけれど納得のできない物事に対し、密かに怒りを感じている、というような。

それはまた、やまだ紫という作家にも通じるように思う。
私は彼女のエッセイも読んだのだが、たとえば戦争とか金融危機とか災害などの「世の大事」ではなく、「小さな生活の中の矛盾」や「身近にある差別」といったものを見過ごさずに「待った!」をかけている。

帯には「暮らしの中でであう哀しみ、ねたみ、怒り、そして悦びを、猫の姿をかりて、やさしく、伸びやかに描く。」とあるけれど、猫を擬人化しているというのともちょっと違う気がする。

短編集のように、猫を主人公にしたマンガが連なっていて、言葉数もさほど多くないのだけれど、簡単に「読んだ」と言えないような深みを感じます。
これも帯にあった「詩的コミック」という表現はよくわかる。

「ひかげ」という作品の最後に「せけんなど どうでもいいのです お日様いっこ あれば・・・」という言葉があって、つまらない対人関係で悩んでいた時に、ストンと胸に落ちた。

私は子供がいないこともあり、彼女の「母親観」みたいなものには共感できないのだけれど。
日常生活の中で、時に感じるわだかまりのようなものを、これほど正直かつ美しく表現できる人をあまり知らない。
「すごく好きな本」というわけではないのだけれど、「日々の暮らし」そのものにちょっと倦んだ時に、ビタミン剤のような働きをしてくれる一冊です。

単行本も手元に置きたいけれど、文庫版解説が佐野洋子さんなので、単行本を手に入れたとしても、文庫、手放せないでしょう。


新編性悪猫 (ちくま文庫)

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猫本32:『イヌとネコのパリ散歩』★フィリップ&リオネル・コクラン [猫★主役マンガ]

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『イヌとネコのパリ散歩』★フィリップ&リオネル・コクラン

イラストを担当したリオネルさん(コクラン兄妹の妹)は絵本作家でもあるので、「絵本」に分類しようかと思いましたが。
訳者あとがきに「このマンガシリーズ」と記されていたので、フランスのマンガ、であるらしい。

イヌとネコがパリを散歩しながら、その場所にふさわしいセリフを発する、というスタイル。
セリフを担当したのは兄のフィリップさんで、なかなかシニカルなセリフが、特にネコのセリフに多い気がします。

たとえば。

「宝石店の並ぶヴァンドーム広場」では、2匹が店を覗いていて。
ネコ「石ころばかり・・・」

「エリゼ宮」を眺めながらの会話は。
イヌ「ポンピドゥー、ジスカール・デスタン、ミッテラン、シラク、歴代の大統領はみんな犬を飼っていた」
ネコ「ヤツらはおべっか使いが大好きなのさ」

「ペール・ラシェーズ墓地」にて、「パリ・コミューンにて亡くなりし者たちに」との張り紙を見ながら。
ネコ「時として、いちばんできる連中が排除されるんだ」

いや、全部が全部そういうセリフでもないのだけれど、「きっと作者はネコにそうあって欲しいんだろうな」と、思いました。

所々にフランスの歴史、演劇、映画、著名人、などに関するセリフも出てくるし、パリの名所の多くを網羅しているので、イヌネコに興味がなくても、フランス好き、パリ好きの人なら楽しめそう。

それにしても、このイヌとネコ、「可愛い」というのとはちょっと異なり、昔流行った言葉で表せば「ヘタウマ」みたいな印象なんだけど、線がすごくユニーク。
建物のイラストの線も、細いのに硬質な感じで、実際に描かれた建物がそうなのかはわかりませんが、ヨーロッパに多い「石造りの建物」のイメージです。

リオネルさんが絵を描いた、他の絵本も読んでみたくなりました。
それから、この本の前に『イヌとネコの生活事情』という一冊が出ているようで、それも入手したいなあ。


イヌとネコのパリ散歩



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猫本23:『しあわせねこごはん』★いわみちさくら [猫★主役マンガ]

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『しあわせねこごはん』★いわみちさくら

まだ「猫」本体を飼っていないというのに。
表紙に「愛情いっぱい! わが家のねこグルメ日誌」と書かれていたのが気になったのと、絵柄が可愛いので買ってしまった。

猫本(マンガ)好きといっても、絵柄の好みもあるから、全部買いたい、読みたいわけではない。
マンガは、特に購入の場合、絵本以上に、「絵柄がOKかどうか」が選択基準に影響します。
今は、猫マンガも多いので・・・マンガそのものに飢えていた時代だったら、「猫ならなんでも!」になっていたかも知れないけれど。

ちなみにダメな猫マンガ(キャラクター)といえば『ドラえもん』・・・マンガ自体は面白いと思うし、読みたくないってんじゃないけど、マイ猫本棚に並べる気はしない。

さて、いわみちさんは6匹の猫(+1匹の犬)と暮らしているのだけど、それぞれの猫の紹介やエピソードとともに、「猫の食事」に関する話が描かれる。
どの子がグルメちゃんだとか、どの子が食が細かったとか、どの子が病気持ちで食事に気を使ったとか。
「食」だけとっても、皆個性的~[わーい(嬉しい顔)]

基本は、著者が興味を持った「手作りのねこごはん」に関する内容で、食に関するコラムや、愛知県在住の獣医師、Dr.エリコによる「猫ごはんレシピ」もちょこちょこついている。
この「猫レシピ」が美味しそうで。
調味料の量を変えれば、人間も美味しくいただけるのでは?というレシピだったりするのだ・・・作ったら自分で味見するだろうな~。

「手作り推奨!」っていうほど強い主張ではなく、「猫の体質改善のためにやってみている」ぐらいのスタンスが良い感じ。
実際、「手作りごはん」を普通に食べる子もいれば、トッピングのササミだけ食べちゃった子もいるし、まったく口をつけなかった子もいて。猫によって違うんですね。
いわみちさんの判断では「手作りごはん、惨敗」だそうだけど(笑)

うちに来る(予定の)子はどういう子かなあ~カリカリだけなら楽かもだけど、私が手作り食にチャレンジしたら、食べてくれる子だと嬉しいなあ。

ちなみに、いまどき「猫まんま」だけ食べている飼い猫はいないんじゃないかと思うけれど。
一昔前は、人間の余りモノと庭の昆虫なんかを食べていたんですよね、猫たち。

人間用の味噌汁かけごはんは、猫にとっては「塩分過多」になり、病気になりやすいという話を聞いたけれど。相方の祖母宅にいた猫は、いつもそれを食べていて、20年以上生きたそうです。
もっとも、その頃は「放し飼い」だったから、栄養の足りない分は外で補ったり、野山を駆け回ってカロリー過多にもならなかったんでしょうね。

今は住宅事情はじめ、多くの点で昔と異なるし、特に都会では交通事故死も多いので、家飼いが鉄則だとか。
そうすると「昔はこれでよかったから」は通じませんよね。
人の食べ物だって、運動量だって、なりやすい病気だって、時代の変遷とともに変わってきているのだから、猫も同じでしょう。

元気で長生きして欲しいから、手作りするしないはともかくとして、「ねこごはん」にも気を遣いたいと思ったのでした。
ちなみに、6匹いる猫の中で、私が気に入った子は「丸くて何でも食べる、ふくたん」です。
写真も載ってるんだけど、丸い・・・やはり私の好みはデブ猫なのね。

Dr.エリコさんの「わんにゃんレシピ集」が載ってる「「わんにゃんかんぱにぃ」は > コチラ


しあわせ“ねこごはん”

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猫本6:『きょうの猫村さん』★ほしよりこ [猫★主役マンガ]

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『きょうの猫村さん』★ほしよりこ

擬人化猫マンガも色々あるけれど「猫のまま擬人化」で「家政婦」ってところがユニークな猫村さん。
爪とぎなどする「猫」でありながら、「家政婦」としての仕事もしっかりこなす。
そして、派遣先の犬神一家の人々や、家政婦仲間はじめ、出会う人々を客観的に観察している。

猫だから面白く読めるし「猫村さんがウチにも来てくれないかなあ」とか思うけれど、もし人だったら・・・あまり友達にはなりたくないかも知れない。
いい人なんだけど、おしゃべりでお節介で噂好きという・・・憎めないけれどね。
現代の物語でありながら、昔っぽい「家政婦」としての存在や、世間との関わり方が、ちょっと昭和っぽさ(郷愁の対象としての)を感じさせてくれるし、昔のテレビドラマのようでもある。

「ウェブコミックのはしり」と言われているけれど、もうひとつ、目新しさを感じたのは、「セリフが手書き」ということ。
決して「上手な字」ではないけれど、絵とのバランスが良いし、同じ人が書いたものだから当然、マンガとの違和感がない。
私は、ほしよりこさんをこの漫画で知ったので、彼女が描く絵に「手書き文字」がついていないと、違和感を感じるぐらいだ。

現在、5巻まで出ているけれど(貸し出し中のため、写真は3巻)、いつになったら「ぼっちゃん」に会えるのか、「ぼっちゃん」は猫村さんを覚えているのかがすごく気になる。見届けねば。
あと、めちゃくちゃ美味しそうな「特製ネコムライス」を食べてみたい・・・。

きょうの猫村さん 5

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