猫本24:『猫探偵ジャック&クレオ』★ギルバート・モリス [猫★脇役小説]

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『猫探偵ジャック&クレオ』★ギルバート・モリス

このブログでは、猫本に限定していますが、他の本もそれなりに読んでいます。
けれど、ハヤカワ文庫を読む率は非常に低いかと・・・そもそも翻訳作品自体あまり読まないし、SFは日本の作家でもあまり読まない。

そんな私なので、ハヤカワコーナーにはほとんど足を向けないのですが、この本は「タイトル買い」の「装幀買い」でした。SFじゃなくて「探偵」ってついていたからってこともあります。

29歳のシングルマザー、ケイトは、12歳の息子と2匹の猫を養っている。
クレオ・・・クレオパトラは10キロ近くあるラグドールの雌猫。とても上品でおっとりしていて、食いしん坊。 (切り裂き)ジャック・・・サーバルと家猫の雑種である雄猫。野生の血のせいか、乱暴もので口が悪い。
小さなアパートメントで、猫以外の贅沢なしで暮らすケイトの元に、会ったこともない曾祖母の「豪邸を相続する権利」が転がり込むのだが・・・そのためには条件があった。
「その豪邸に住むこと。彼女が飼っていた多くの動物を世話すること。」そして「もう一人の相続人と一緒に暮らすこと」
もう一人の相続人は、軍隊、刑事経験を経て、作家になろうとしているジェイクだった。

動物好きだけど家事は苦手なケイトと、マッチョなのに蛇が怖くて、料理と生理整頓が得意なジェイクの同居は、最初から波乱含み。
そこに、市長をはじめ新しい隣人たちの思惑が絡み、殺人事件まで起きてしまう。
そしてーーー。
とまあ、興味を持たれた方は読んでいただくとして。

猫たちは「探偵」というには、何を調査したわけでもないし、謎解きをするわけでもないので「ちょっと違うのでは?」と思いましたが、ところどころで会話を交わし、それぞれ魅力的に立ち回る。
たくみな愛情表現で、いつのまにかジェイクをも虜にしてしまうクレオと、「敵」をすばやく攻撃することで、ケイトを守ろうとするジャックの対比も良くて、猫好きとしては、彼らの登場シーンばかりが頭に残ってしまいました。

ストーリー展開は、ミステリとしては今ひとつな気がしたけれど(途中で真犯人の想像もついちゃったし、ぬるい感じ)猫好きとして、また、男女のラブストーリー重視で読むなら、まあまあ楽しめます。
ちょっとミステリテイストの恋愛モノって感じかな~軽めの映画にできそうな。

あと、アメリカだからか、作者がクリスチャンだからかはわかりませんが、聖書のエピソード引用あり。(フェレットの名前は「アビゲイル」だし。)
でも、たぶん、翻訳者の羽田さんが頑張ったのでしょう、
聖☆おにいさん1-6巻 セット (モーニングKC)
を読んでいればクリアできる程度[手(チョキ)]
あまり説教臭くないのは、ジェイクは信者ではないし、それを否定するようには描かれていないからかな。

推理や人間心理を扱った本格派ミステリが好きな人には薦めませんが、「魅力的な猫2匹が登場する、ほどほどに楽しめる軽いミステリ風の本」としては悪くない1冊です。


猫探偵ジャック&クレオ (ハヤカワ・ミステリ文庫 モ)

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らいみ

やった~探偵♪
でも、探偵らしき働きはしないってこと?
できれば、聞き込みとか張り込みとかやってほしいです。
でもおもしろそうです。
by らいみ (2011-09-18 01:12) 

ko-cha

「猫探偵」、その言葉だけですべて許せる気がします。

by ko-cha (2011-09-19 22:28) 

駄々猫

>らいみさん
聞き込みとか張り込み・・・今後、他の猫探偵も登場予定なので、そちらに期待!?

>ko-chaさん
確かに。「猫探偵」って、そういうものかも。この本も、推理小説としてはイマイチ評価にもかかわらず「買って損した」とはまったく思っていませんからねー。
by 駄々猫 (2011-09-19 23:31) 

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