猫本20:『猫の建築家』★森博嗣 佐久間真人 [猫★美術]

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『猫の建築家』★森博嗣 佐久間真人

挿絵が素敵で分量も多いので「絵本」に分類しても良い気がしますが。
文章がとても思索的で、建築家である猫が「美」の意味を探る展開になっているので「これは一つの芸術論ではないか」と思った次第。

何度生まれ変わっても建築家であるグレイの猫が、ものの「形」と「機能」を観察し、歩き回ったり、建築家学会に出席したり、「動き」や「内側と外側」や「自然」について考えたりしながら、最終的には「美」について、そして「建築家として何を作るべきか」を考えていく。

読んでいて、自分が猫に同化しているような、猫のいる世界を上から俯瞰図として眺めているような感覚に陥った。猫が定義するところの「内側と外側」のどちら側にいるのかがわからなくなった。

私が所有しているのは、単行本ではなく小さな文庫本だというのに、佐久間さんの挿絵が立体的に見えて、こちらに迫ってくるように感じられるからかも知れない。

平易で短い言葉で書かれているが、突き詰めて考えようとすると、思索の沼にはまってしまいそうになる。
たとえば。

世界は、我々と、我々以外、からなっている。 我々以外は「自然」だ。 たとえば、「夜」は「猫」ではない。

「美」は、「形」なのか「機能」なのか、それとも「猫なのか。 興味はつきない。

深く考えてみるも良し、すーっと読み流すも良し。

好き嫌いが分かれる本だと思うので、誰にでもおススメはしないけれど。
建築物が好きで、崩れかけたビルや廃墟にも「美」を感じる私にとっては、なかなか素敵な本でした。

佐久間さんの挿絵の猫や建築物がまた好みなので、できれば単行本で持ちたいな。


猫の建築家 (光文社文庫)

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コメント 8

らいみ

猫ちゃん。何をやっても、似合うのですね。
by らいみ (2011-09-11 22:48) 

ゆうこ

不思議な本ですね
猫を通して見ると、いつもの世界も違って見えるかな?
by ゆうこ (2011-09-12 10:03) 

capote

森博嗣さん、こんなの書いてるんだ
by capote (2011-09-12 23:25) 

駄々猫

>らいみさん
猫に似合わない職業・・・うーん、何でもできそうだもんねえ。
これから探偵猫なども登場予定です。

>ゆうこさん
猫の視線て時々「何を見ているのだろう?」って思います。
見えないものを見ている気もするし、思索しているようにも思えるし・・・。

>capoteさん
森さんといえば、ミステリと「スカイ・クロラ」シリーズだと思っていたので、この本を見つけた時には私も「え?あの森さん?」と思いました。工学博士としての側面でしょうか。
by 駄々猫 (2011-09-12 23:56) 

kurako

この本、うちにもあります^^
by kurako (2011-09-13 05:53) 

駄々猫

>kurako
わーいお揃い♪ 単行本ですか? だったら羨ましいなあ。
by 駄々猫 (2011-09-14 00:13) 

kurako

こんにちは。
単行本です^^
この手のモノは、たいてい夫が買ってきます(笑)
by kurako (2011-09-14 12:34) 

駄々猫

>kurakoさん
上のコメント「さん」が抜けていました、ごめんなさい。
単行本か~いいなあ。
だんなさんが買ってくるってのもいいなあ・・・。
(うちの夫は猫好きではなく、飼うことに関しても「しぶしぶ承諾」なのです)
by 駄々猫 (2011-09-14 23:41) 

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