猫本33:『ねこのシジミ』★和田誠 [猫★主役絵本]

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『ねこのシジミ』★和田誠

仔猫の頃、「シジミが落ちているみたいに見えた」から、シジミと名づけられた猫のお話。
公園で拾われてから、どうやら「和田家」で、平凡ながら幸せな生活を送ったらしい。

なんで和田家かといえば、「ショウちゃん」が持ち帰って、弟が「リッちゃん」で、シジミを抱いている「お母さん」は、平野レミさん(=奥さん)ソックリ。
さらに、絵本の出版は1996年なんだけど、最後のページには「小学生だったショウちゃんが、もうはたちなんだから」という記述があって、トライセラトップスの和田唱さん(和田家長男)は、1975年生まれ。

エピソードとして、みんなはシジミ、シーちゃんと呼ぶのに、お母さんは、シジミ>フジミ>フジオさん>フジサキさんと変化させてしまった、なんて話が出てくると「レミさんなら、そうかもなあ」と思ったり。

話の流れは、シジミの毎日が「ぼく」という一人称で語られるだけで、大きな事件や感動的なことがあるわけではない。
もっとも、ドロボウが入ってお金を盗まれるという「事件」はあったのだけど、そこが強調されているわけでもなく。

「お父さんを起こす」とか「水はお風呂場で飲む」とか「トイレは外でする」とか。
「病気の時はじっとしている」とか「鳥も虫も取らない」とか。

私のお気に入りは「うちのなかで涼しいところをみつけるのが得意」で「ぼくが寝ているところに、お母さんが野菜を置く」というエピソード。同じことをしてる人、いそうですよね。

話が淡々としている分、和田さんの絵(繊細な銅版画だそうで、ビックリ)が引き立ちます。
シジミの表情や動きが、どのシーンにおいても、とてもリアルに描かれている。

たとえば、外から戻りたくてドアをカリカリする様子とか、ザリガニを観察する様子とか、犬を見て毛を逆立てている様子とか。
その一枚を、絵として飾っておきたくなります。
そういえば、この本の編者であるトムズボックスさん@吉祥寺に「オリジナル絵葉書」があったかも。

最後は、トランクの中で寝ている姿とともに、年をとったことが記され「でもまあ、しあわせなまいにちかな、とおもいます。」と締めくくられます。
これは、和田さんが想像した、シジミの「人生(猫生)回想記」なのかも知れない。

私がこの本を好きで、流れはもうわかっているのに時々眺めるのは、衣食住足りていれば、特に何も望まない平凡な日々を「しあわせ」と感じていて、それを肯定してもらえる気がするから。
ドラマや映画にはできそうにないし、「何か生きた証を残したい」タイプの人にはわからないかも知れないけれどね。

ねこのシジミ (イメージの森)

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コメント 5

タックン

「シジミが落ちているみたいに見えた」って
どうな風に落ちていたのでしょう^^
和田家の暮らしは シジミちゃんにとっても
楽しかっただろうなぁ・・・幸せニャンのお話なんですね。
by タックン (2011-10-03 20:18) 

駄々猫

>タックンさん
添えられた絵は、台所の床に「本当に小さな仔猫」がうずくまってる図、でした。遠くから見たら「しじみ?」だったんでしょうね。
どんなおうちに、どんな家族の貰われていくかも運の強弱なんでしょうか。
by 駄々猫 (2011-10-04 23:18) 

ko-cha

こんばんは。

猫とは関係ないのですが、
和田誠氏のご長男がトライセラトップスの和田君とは!
かなり驚きました。
by ko-cha (2011-10-05 23:39) 

駄々猫

>ko-chaさん
あれ? TV見ない=芸能ネタに弱い私が知っているので、割と有名な話かと思っていました。ウィキにも載っているかと。
和田家は仲良しみたいで、レミさんの子供向け料理絵本でも「4人で共作」していたりします。
by 駄々猫 (2011-10-06 23:37) 

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