猫本14:『中央線で猫とぼく』★北尾トロ [猫エッセイ]

中央線で猫とぼく.jpg


『中央線で猫とぼく』★北尾トロ

北尾さんが、だいぶ前から猫を飼っていたことは、他のエッセイに出てくるから、知っていたけれど。

こうして「自分史」と一緒にまとまると、一人の「さして猫に興味もなかった男」が「いかにして猫に心奪われていったか」という関係の推移がわかり、興味深かった。

都内の「ノラ猫分布図」に詳しいわけではないけれど、中央線沿線というか、北尾さんが学生時代から住んだ街は、全体的に「猫に優しい街」のようだ。
中央線沿線というと「フリーランスが住みやすい」ことでも知られている。懐が深い街が多い、ということらしい。
著者が書いている通り「人に優しい街は、(ノラ)猫にも優しい街なのだ」と思う。

北尾さんが住んだ中央線沿いの町々で、ノラ猫たちとの出会いがあり、最初はなんだかわからないままに「餌をあげる」ようになり、またノラに戻っていった猫もいれば、一緒に住むようになった猫もいる。涙の別れをして友達に譲った猫もいる。

最初は「何も知らなかった」北尾さん、述懐して「今思えば、間違っていた」という猫扱いもあるのだけれど、とにかく一生懸命に彼らと「共に生活しよう」とする。
インスタントラーメンは猫に良いとはとても思えないが、自分が食べるものにも事欠くような状況でも、とにかく「猫がくれば何とか期待に応えよう」とするのだ。
その気持ちが一番大事なんじゃないかな~なんて思った。

私は今、猫を迎えるために「まずは掃除から」取り掛かっている。
高い志があるわけではないけれど、ペットショップなどではなく、「ノラ猫を救う活動をしている団体さん」から引き取りたいと思っている。

で、時々そういうサイトを覗いたりしているのだけど、「条件」というのがあって、なかなか手厳しく感じられる。
当然ってわかってはいても、ちょっとビビってしまう。
なにせ「初めて飼う」わけで、「経済的に充分余裕がある家庭」ってわけでもない。
何があろうと最後まで一緒だと決心しているけれど、人生先のことは正直わからない。

でも、北尾さんのエッセイを読んでいたら、「何とかなるもんだ」と思えた。
物心ついた時から家に猫がいたって人は別としても。
誰だって、最初は「わからない」ながら、必死に対応していくもんだし、猫はそれをわかってくれるんじゃないかなーって。
幸いなことに、周囲に猫ママさんは何人もいるから、何かあったら頼れるしね。

一番気に入ったエピソードは、今も一緒に暮らしている猫、スーとの出会い。
住んでいたアパートの庭にノラの「母ちゃん」が子育てをしていて。
4匹の仔猫がいたんだけど、彼らは皆出て行ったそうで。
でも、ある日、中の一匹(通称「弟」)が、別の猫を連れて来て「面倒みてやってくれませんか?」って感じで紹介したのだそう。
なんて面倒見の良い猫!! でもって、北尾さんを信頼して連れてきたんだね。

エッセイに出てくる猫たちのイラスト、写真もところどころに納められていて、色々な方向から楽しめる一冊です。

中央線で猫とぼく―あの日、あのコと目があって

nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

もみじ

猫と聞いて飛んでまいったでござるよ(=^・^=)
読んでみたくなったとです。
ノラっていうのがヨカですね~
理屈じゃなかですよね、猫に接するって。

by もみじ (2011-09-06 21:57) 

駄々猫

もみじさん、こちらにも来ていただきありがとう。
今は都内だと「室内飼い」じゃないと危なっかしくてしょうがないって感じですが。(交通事故が本当に多い)
北尾さんが上京した頃(1970年代?)は、まだまだノラも多かったみたい。一つ一つの出会いが微笑ましく羨ましいです。

ホントは「拾う」か「いつのまにか入ってきてしまった」というシチュエーションに憧れているのだけど、なんか全然猫に出会えないのだ、住居近辺。
by 駄々猫 (2011-09-06 23:35) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。